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ブータンが教えてくれたこと
¥1,430
SOLD OUT
かわしまさんのブータンへの想いと初めての旅を綴った『ブータンが教えてくれたこと』です。 かわしまさんといえば、身近な草の本を沢山出されていて当店も大好きですが、こちらの旅行記もおすすめです。 ブータンのチモンという村に初めて電気と道路が通ろうとする時のことです。 自給自足の村が大きく変わっていくことが予め分かっているけれど、いまの村の暮らしを知りたい。そんな旅のタイミングだったそうです。 そこで出会った人々から教わったことが綴られ、読み進むにつれて引き込まれていきます。 印象的だったのは、人と火を囲むことの大切さ、それが私たちに思い出させてくれること。 詳しくはぜひ読んでみてください。 時空の大きな流れの中に誘われて、色んな人のことを思い出すような、そんな本です。 (ルリユール書店) ―――――― 『ブータンが教えてくれたこと』 かわしまよう子 文・写真 アノニマ・スタジオ 2013年7月初版
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小原かご
¥1,980
ひとつひとつ丁寧に編み込まれた造形。 使うほどに光沢を増す木かご。 一度手にすれば一生を共にできるという。 この丈夫で美しいかごはどこで生まれたのか。 滋賀・福井県境、淀川源流の碑が建つ奥丹生谷という地域に、かつて七つの村があった。山越えにやってきた木地師たちが住み着いてできたと伝わる村々は、高度経済成長による製炭業の衰退化や、ダム建設計画により1995年までに地図から消えていった。 美しい木かごは、地図から消えた村の人々によって編まれていた。 奥丹生谷の人々は、山桜が咲く頃に麻の種をまき、夏は山桑で蚕を育て、炭を焼き、豪雪に備えてあらゆる山の恵みを蓄え、神々に平穏を祈り暮らした。買うものは釣針などのわずかな鉄製品と塩だけ。そんな暮らしの中で作られた『小原かご』は、カエデなどの広葉樹を材とした美しさと丈夫さが評判を呼び、北國街道を行き交う人々によって広域で流通していた。 本書では『小原かご』について、材料の採取から編み方までを解説。衣食住すべてを作り出す山の暮らしについて、かつての村人の語りや当時の写真と共に伝えている。 文化資源学を研究する著者は、現代で唯一となった小原かご伝承者に師事し、かご編みの技術を習得。ひとり、山へ入り材となるイタヤカエデを切り出し、かごづくり教室を開く。技術の継承者を増やそうと取り組む中で、「かごづくりが続いても、かごが使われていた暮らしの背景を知らずに続くことは『民具の伝承』と言えるのか」という疑問にぶつかる。師の語りに耳を傾け、かつての暮らしを聞き取りながら「民具の伝承とは、技術を継承することだけではなく、そのものが生まれた土地の景色や使われていた暮らしの背景を共に記録し伝えていくことである」という本質に気づく。本書はその実践的アプローチである。 目次 はじめに......2 小原かごのこと......6 白子皇子の民話......8 自然と神々と暮らした村......10 山の暮らしの記憶......12 太々野㓛さんのこと......22 山に入る......30 山の暮らし小話 薬草の知恵......42 小原かごをつくる道具......46 いろいろなかごの形......48 小原かごの特徴......49 小原かごをつくる 材料のこと......50 小原かごをつくる おやつかご......52 山の暮らし小話 山の食事......58 小原かごをつくる ナタかご......62 昔の小原かご......66 山の暮らし小話 暮らしに坐す神......70 現代の暮らしと小原かご......74 山の暮らし小話 すべてをつくり出す暮らし......84 木を編むわざ 広葉樹利用の民俗......88 おわりに......92 前書きなど ----- はじめに ある日、小原かごの作り手である太々野㓛さんのお宅でかごづくりをしていた時、「うさぎっちゅうのは冬が採りやすいんや」と話が始まりました。わたしがせっせと材料を削る傍らで、こんこんと「うさぎの上手な捕まえ方」を語る師匠の太々野さん。わたしはいつか都会で食べた仔うさぎ料理のことを頭に浮かべながら「うさぎって美味しいですよね」と自分ができる精一杯の返事をしたのを覚えています。 小原かごづくりを学び初めて半年経ったころから、かごづくりの最中に聞く話のほとんどはかごのことではありませんでした。冬に囲炉裏の周りに座ってみんなで一年中のわらじを編んだ話や、秋になると栃の実やきのこを採りに行くこと、木を倒すときの大きな“のこぎり”の挽き方。雨や雪の日は箕(み)をまとって何時間も歩いたこと…。油断しているといつの間にかわたしの知らない昔の暮らしの話が始まっていて、その世界の新鮮さに思わず手を止めて話に聞き入ったことも少なくありません。わたしが子どもを産んでかごづくりを中断せざるを得なくなった時期には、昔の暮らしの話だけを聞きに赤子を連れてお邪魔しに行ったほどです。 そのうちに、ほんの数十年前まで、この地域には衣食住の多くを自給自足する生活があったことを知りました。買うものといえば塩と少しの金属くらい。電気や水道は無く、火ときれいな山水を使い、着物も麻から繊維を取り出して布を織って作っていた暮らしです。小原かごとは、そういう暮らしの中の一部だったのです。 わたしは小原かごのことを学びながら聞いた話を資料にまとめるようになり、当時の暮らしを想像しながら、「小原かごを残すということはどういうことなんだろうか」と考えるようになりました。 本書で紹介するのは小原かごのことだけではありません。かごが作られていた村の暮らしや材料を採る山のこと、自然と共存し、常に畏敬の気持ちを寄せてきた信仰のことも一緒に紹介しています。 この丈夫で美しいかごを誰かが手にしたときに、厳しくも豊かな山の暮らしを想像してもらうための一助になれたら、幸いです。現代では考えられないほど大変な暮らしだったでしょうが、その暮らしぶりに触れれば、村人たちのたくましさにきっと勇気づけられるはずです。 ------ 出版社から一言 スマホで何でも簡単に取り寄せられる現代社会において、衣食住すべてをつくりだす暮らしというのは、想像することも難しいかもしれません。でも、日本の山間の村では、たった30年前まで、そうして暮らしていた人たちがいました。本書では、そんな村に伝わる民具「小原かご」を通して、自給自足の暮らしの様子や自然への畏怖を、当時の写真を掲載しながら紹介しています。同じ時代に生きる人々がそんなにもたくましく生きてこられた語りを読み進めるうちに、多くの現代人は経済成長だけではない未来に希望を持ったり、勇気づけられたりすることでしょう。 著者プロフィール 荒井恵梨子 (アライエリコ) (著) 1988年栃木県生まれ。東京芸術大学で工芸技術(金属)を学び、伝統産業のメーカーで商品開発部として勤務後、フリーランスとして様々な仕事を経験。東北の織物産地での仕事をきっかけに金沢大学大学院に進学し文化資源学で修士号を取得。2018年に滋賀県長浜市木之本町に移住後、2019年に「カフェと日用品 コマイテイ」を開店。地域資源の活用を通して、地域に根付く文化を育むことを目指している。2018年から、小原かごの伝承者太々野㓛氏に師事、かごづくりを習い始める。 (出版社より) ------- 『自然と神々と暮らした人びとの民具 小原かご』 荒井恵梨子 能美舎 2023年5月
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世界を文学でどう描けるか
¥2,640
タイトルからして、文学論なのかと思いきや、2000年にサハリン島を旅したことから書き出されます。 北海道の北、かつては樺太と呼ばれた地の南から観光で訪れる人も稀な北端まで旅した日々が綴られています。 政治と歴史と民族と複雑に絡み合い、言葉も文化も異なる地での旅がミステリーのようにも感じられる文体で描かれ、引き込まれていきます。 日本の樺太への植民やロシアとのせめぎ合い、アイヌやウイルタなど様々な民族やユーラシア大陸からの流亡者など、教科書では扱うことのない歴史に触れることもできます。 過去の世界文学にも言及しながら、この旅の経験から文学とは何かを考えていく斬新な作品です。 (ルリユール書店) ――――――— いま、ここにある「世界」とは、何か また、どのようにすれば、それを叙述できるのか―― 2022年春にロシア軍のウクライナ侵攻が始まったとき、思い起こしたのは20年前に訪れたサハリンで出会った人びととの会話だった。アイヌ、ニヴヒ、ウイルタといった北方先住民族たちと、日本人、中国人、朝鮮人、ロシア人などが時代の流れのなかで移り住み、ともに暮らすサハリンで、自らをエミグレ(亡命者/流亡者)といった一人の女性。作家は、サハリンに生きた人びとの姿を通して、この世界をどうすれば描くことができるかという自問と対峙する。 いまなお続く「終わらない戦争」の時代下で、戦火から逃れ、流浪を余儀なくされる人びとがいる。世界の複雑さを直視し、そこに住むひとりひとりの生活を見つめること、想像すること。そこから、かすかではあるが、小さな光明としての、言葉が、文学がたち現れる。 目次 1 私がサハリンに行ったとき 2 ユジノサハリンスク 3 ポロナイスク 4 オハ 5 二〇年後の世界 6 『フランケンシュタイン』は、世界をどう描いたか 7 ヴィノクロフのこと 8 オタスからの世界 (出版社データーベースより) ーーーーーーー 『世界を文学でどう描けるか』 黒川創・著 図書出版みぎわ 2023年3月
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生きることに◯✖️はない
¥2,200
1978年に刊行された本の新装復刊です。 能やきものにまつわる論考などを残した在野の思想家による回想記です。 優しい語り口で大正時代に病弱な幼年時代を過ごした少年がまだゆっくりと流れていた時のなかで快復していく姿が描かれています。 死とどう向き合ってきたのかも、この本のテーマです。 吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』が心に残ったという方にも、同じ時代を感じさせるおすすめの本です。 植田実の装画と挿絵も素晴らしいです。 (ルリユール書店) ―――――― 在野の哲学者である戸井田道三が青少年向けに書いた自伝的エッセイを44年ぶりに復刊。あらたに鷲田清一氏の解説と植田真氏のイラストを加えて生まれ変わりました。母親との死別、結核などの大病、関東大震災での朝鮮人虐殺……と、本書で取り上げられている戸井田の話は決してハッピーな内容ではありません。しかし、そんな辛い経験の中から戸井田は、「わたしが生きてきたのは、生きたというよりむしろ、ただ死ななかっただけなのだ」と思考します。そして、「生きのびているだけで、それが手柄だよ」という恩師の言葉を引き合いに出し、「生きることの意味」について語ります。そんな戸井田の言葉は、現代の若者にもきっと届くでしょう。 目次 自分と他人はとりかえられない 大事な、十四、五歳 最初のハードル 大森海岸でのこと 母の死 チイちゃんのひとこと 小学一年生のころ 母のない子の熱海 「おまえのためにびりだ」 いじめっ子のアブヨシ 田舎にあずけられて 犬を飼えない生活がある 水中に浮く変な感覚 四季のうつりかわり 父の結婚 『立川文庫』におそわって 新しい母 波音のとまる瞬間の深さへ 病気もわるいとはかぎらない 悪い本ときめたがるのは 死の淵からもどった目にうつるものの美しさ 試験は誰のためにある? ゆれる大地、関東大震災 気のすすまぬ転校 流されたうわさ ツネさんの絵 あとがきにかえて 解説(鷲田清一) (出版社データーベースより) ―――――― 『生きることに○×はない』 戸井田 道三(著) 鷲田 清一(解説) 植田 真(イラスト) 新泉社 2022年7月
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山の仲間たち
¥2,530
伝説の山の文芸誌「アルプ」に掲載されたエッセイや詩を集めたものです。 串田孫一、辻まこと、尾崎喜八、神沢利子、真壁仁、山本太郎など。 山登りを愛したドイツ文学者の池内紀の編集です。 (ルリユール書店) ------ 『山の仲間たち』 池内紀編 幻戯書房 2005年7月